※本誌ネタバレ注意※ワールドトリガー最新223話感想!あの臨時隊長の行動がA級隊員の賛否を巻き起こす!

みなさまこんにちは、きいです。

今回は『ワールドトリガー』本誌最新223話の感想をお届けします!

注意!

本記事はコミックス未掲載(2022年6月時点)の内容を含みます。ネタバレが嫌な方はご注意ください。

水上の戦法を的中させた隠岐くん

場面は諏訪7番隊のツイン部屋。

オッサムと隠岐くんが今日の水上9番隊の圧倒的すぎる強さについて話していると、なんと隠岐くんが、水上が1人で戦闘シミュを操作していたことを的中させました。

ワンオペのメリット

戦闘シミュを1人で操作すれば、戦闘中の情報共有の手間を省くことができ、多人数プレイでは難しかった高度な連携も可能となります。

そして何より最大のメリットは、1人が戦闘シミュをやっている間、残りの4人は共通課題に集中できることです。

冷静に分析を行うオッサム ©葦原大介/集英社

これ以上ないくらいの合理的な方法に納得のオッサム。思いついたとしても成功するか分からない、ぶっとんだ戦法です。

水上の過去

1ターンの時間制限がある中、1人で9ユニットも動かすことが可能なのかというオッサムの疑問に対し、隠岐くんはかつて水上が将棋のプロになるべく奨励会(プロの養成所)に通っていたことを打ち明けます。

将棋でけちょんけちょんにされるイコさん。吹き出しの向こうにいても隠しきれない存在感 ©葦原大介/集英社

将棋にも秒読みがありますし、相手の手を予測しながら勝ち筋にもっていく点など、戦闘シミュに通じるものがあるかもしれませんね。

このあたりは、同じ生駒隊で水上との付き合いが長い隠岐くんならではの気づきでしたね。(イコさんや海くんなら、おそらく気づかないでしょう。しっかりしてそうな真織は、気づきそうな気がしますが)

さらに、水上が奨励会に通っていたことは結構レアな話であることが隠岐くんの口から明らかになりました。

その口振りは、ボーダー内でも相当近しい人しか知らない様子でした。

具体的に明記されてませんでしたが、ほぼ確で知っているのは生駒隊や上層部、その他スカウトに関わった隊員…あたりでしょうか。

きい
きい

これが、隠岐くんが諏訪7番隊に配属された理由ですね!主人公であるオッサムに、この事実を伝えるために。

余談ですが、水上は隠岐くんと同じスカウト組で、共に大阪出身。実は昔からの付き合いがあり、水上のルーツをもっと知れる回想シーンがあるかと思いましたが、そこまでは無かったですね。

読者の視点とキャラクターの視点

水上が将棋のプロを目指していたことは、コミックス18巻の裏表紙に載っているキャラクター紹介に載ってます。

私のような熱心な読者はあまり驚かず当然のように読み進めておりましたが、今回のオッサムのように、キャラクターによっては初耳な場合もあります。

あと、同じ視点で隠岐くんは水上が1人で戦闘シミュを操作していることは予測できても、他のメンバーに黙ってやっていることまでは予測できておりません。

これも、試験の様子を俯瞰で見ている読者だから分かる視点です。

ワールドトリガーは遠征選抜試験編になってから、群像劇のテイストがより強くなっています。

もちろんめっちゃ面白いのですが、熱心な読者ほどキャラクター目線も忘れないようにしなければいけませんね。

カゲの優しい一面

場面は柿崎3番隊。

今日の犬飼の発言を引きずり、なかなか眠りにつかない太一くんを同室になったカゲが励まします。

©葦原大介/集英社

ぶっきらぼうな口調で末っ子なのに、本当に良いお兄ちゃんを見せます。

影浦隊でもユズルの遠征行きを後押ししてましたし、カゲに関しては年下に対して特に優しい描写が目立ちます。

前話におけるカゲと犬飼の口論では、カゲを批判(犬飼を擁護)する意見が多かったですが、ここで報われましたね。

そして、ザキさんへのこの上ない忠誠心も見どころです。

©葦原大介/集英社

カゲよ、ザキさんの何が貴方をそうさせるのですか。

閉鎖環境試験3日目

閉鎖環境試験3日目がスタートし、場面は審査するA級隊員が集まるモニタールームに。

ここで、夜勤上がりと思われる片桐隊がモニタールームに登場。久しぶりの登場ですね。他のA級チームとの仲も良い様子です。

水上のA級評価

この水上の行動について、2日目に審査を担当したA級隊員も含め、意見が真っ二つに割れます。

賛成意見はこちら
  • メンバーが楽できるからあり(当真)
  • もっと上手くやれよとは思うが、明確に成果が出てるから減点する理由がない(真木)
  • 揉めたときの対応等で評価は変わるから、まだ減点するには早い(月見)
  • 順位が悪くてもどうせギスギスする。だったら今のやり方の方が良い(雪丸)
  • 嘘はルールの範囲内だし、運営からの指示には従っている(三輪)
  • (照屋への対応は)「黙らせる」だから、あのやり方が効果的(レイジ)
  • 照屋の立場だったらやり方に納得できないだろうから、伏せておくのはあり(結束)
  • 目的が「チーム成績の最大化」と「その戦術の維持」であれば加点が妥当(喜多川)
反対意見はこちら
  • 後々揉めそうな要因を自分から作るのはどうかと(林藤ゆり)
  • 照屋ちゃんへのあの対応はダメ(冬島)
  • あたしだったらあのブロッコリーに噛みついて毟っている(小南)
  • 険悪になりかけた理由が「自分の嘘を隠すため」は確かに良くない(烏丸)
  • 照屋ちゃんを指導するなら、人前じゃなく場所を変えて話をするべき(小南)
  • (レイジの加点理由に対し)余計ダメじゃん!!!!(小南)
  • 格言、大事だと思います。あと荒船と今の負担が大きい(太刀川)
  • 嘘をつかないで、最初から全部説明すれば良かったのでは(尼倉)
  • 自前で揉め事のタネは作りたくない(桃園)

※少し言い換えたりはしてますが、大体このような感じです。

同じA級チーム内でも評価が割れているのが面白いですね(例:冬島隊だと当真と真木が賛成だが、冬島隊長は反対)。

そして、水上の評価点は合計で見ると『ちょっとプラス』に着地しそうですが、9番隊の他のメンバーに多くのプラスが入るという結果になりました。

ポイント

これにより、ぶっちぎりの1位というこの上ない結果にメンバーを導いている水上はあまり評価されず、(結果的に)水上の戦術の恩恵を受けているだけの照屋ちゃんたちに評価が集まるという、少しおかしな現象が起きています。

本来であれば、水上の戦術にもっと評価が集まってもいいはずです。

それは隊員の中でも高い学力と冷静さを持つ奈良坂でさえ「これ以上の方法が思いつかない」と言わしめるほど。

では何故、このような現象が起きているのか。その原因は、水上が正論だけを言って一方的にコミュニケーションを終わらせてしまった点にあると思います。

『正論』のリスク

現実社会でも、正論を振りかざす人は嫌われます。「ロジハラ」という言葉もあるくらいです。水上も決して間違ったことは言ってませんし、結果も出しています。

しかし、自分のやり方・意見を貫き過ぎるあまり、相手の意見を受け入れる気遣いに欠けていました。

これが“照屋ちゃんが可哀想”といった意見につながり、実際の評価点数になりました。

前話で照屋ちゃんの疑問を正論で打ち切っていた水上 ©葦原大介/集英社

“可哀想”と書くと『審査する側が感情で採点して良いのか』という疑問が出てきますが、人の評価は印象で決まる部分も大きいのが事実です。

現実社会でも、上司から気に入られて昇進する人が居ますよね。桃園くんも印象は大事と言ってます。

もちろん正論が悪いのではありません。正論を使うなら、もっと寄り添うようなコミュニケーションが必要だと思います。

もっとも、今の水上にはそれが出来ないから、実際のようなカタチになったわけですね。

このあたりが、今後の水上の課題になりそうです。

A級隊員は読者の代弁者

真木ちゃんの言葉を借りるなら、水上はもっと上手いことやれば、だいぶ結果は違っていたはずです。

尼倉さんの言うように「最初から説明していれば…」と思ったりもしましたが、先述の通り水上にその器用さは持ち合わせていないため、実際のような進行は必然だったかもしれません。

このように、読者の考えや思ったことを審査するA級隊員たちが代弁してくれているのが良いですね。

水上の評価に20人以上のキャラクターが関わっていますが、各キャラの言いそう・考えそうな意見を出しながら解説し、ストーリーを展開させていく様は、もはや芸術の域。

きい
きい

これぞワールドトリガーという印象を受けました。

この場面で他に気になった点

  • 「また」ってことは既に一度本部長に怒られていた太刀川。二宮減点のくだりでしょうか笑
  • 太刀川の配点方法は、ふつうにかしこい!と思いました。
  • 片桐隊メンバーの呼称に悩む筆者(雪丸以外)
  • 桃園(くん?)のちびキャラが、完全に丸くなったレイジさん
  • もうそこそこな回数出てるのに、未だに全くキャラが掴めない喜多川さん
  • 双葉ちゃんが照屋ちゃんへマイナス評価した理由が気になる

こんなところでしょうか。

本当は全て詳しく読み解いてみたいです。時間ができたらじっくり書くかもしれません。なんせ次号まで時間はたくさんありますし!!

グレードアップした戦闘シミュレーション演習

本日も2日目同様、戦闘シミュが15時からあります。そして、戦闘シミュのフォルダを開けた瞬間、昨日よりユニット数が増えていることに気づきます。

©葦原大介/集英社
  • 基本ユニット数:2体ずつ⇒3体ずつへ
  • ヘルプユニット数:1体⇒2体へ

ここで諏訪さんが、昨日の水上9番隊が戦闘シミュを1人で行なっている可能性をメンバーに共有。やはり、諏訪さんはしっかりと勘付いていましたね。

しかし、諏訪さんは今日も全員で戦闘シミュを行なうことを決定。理由としては、ユニット数が増えたことにより局面が複雑になり、1人でプレイするには負荷が大きいと判断したためです。

それよりも今日は「明日(4日目)負けない日にするためのネタを見つけることに集中しろ」と指示。2度目は通用しないであろう、1回限りの戦術や工夫といった隠し玉的な要素を探す日にするということです。

この要素に関しては、今までもたくさん出てきましたね。

  • 空閑くんの『バッグワーム奇襲
  • 太一くんの『暗闇戦術
  • ヒュースの『バイパー
  • オッサムの『アステロイドと見せかけたハウンド

などなど、こうして見ると玉狛が多いですね。

他にも、ヒュースの情報が知れ渡っていないことを最大限に活かしていたり、強力な切り札の雨取ちゃんを、あえて隠れさせることで相手の行動を制限したり。

大規模侵攻まで遡ると、トリオンキューブの替え玉などもありました。

これら余りある実績を作ってきたオッサムに、諏訪さんはチームの行く末を託します。

オッサムに全幅の信頼を置いているのがよく分かる一コマ ©葦原大介/集英社

諏訪さんの笑顔が良いですね。部下の長所を最大限に活かすチーム運営に、私も笑顔になりました!

実は、この『1回限り』になりそうな戦術や工夫については、オッサム以外にも前例があります

  • フェイント的な動きで相手を撃破していた諏訪さん(ランク戦ROUND8)
  • 敵・味方全員の意表をつく隠密行動を見せていた隠岐くん(ランク戦ROUND8)
  • どんな状況でも素早く適応し迅速な行動をとれる香取(ランク戦ROUND5)

こうしてみると、諏訪7番隊は全チームの中でも特に曲者が揃っていますね。

試験の事前調査で、太刀川が予想していたことが当たるかもしれません。

©葦原大介/集英社

今月の気になったポイント

見応えバツグンの水上評価

さまざまな個性を持ったたくさんのキャラクターが、それぞれの性格や価値観に合った意見を出し、一つの結論を出す。現実社会での仕事の1コマを観ているかのようなストーリー構成・演出は、まさにワールドトリガーという印象でした。

今までは試験を受けている側を見てましたが、採点する側でもこのような光景を拝むことができ、感無量です。

今回、久しぶりに登場した片桐隊の性格も少し掴めました。これからもっと登場してほしいですね

他のチームの戦闘シミュの方針

加古さんと双葉ちゃんが言及していましたが、2日目の特別課題で人員を分けたことや、水上隊の圧倒的スコアを踏まえて、シミュの人数を制限したりするチームが出てきそうですね。

諏訪7番隊は全員で行なうことを選択したので、その対比という意味でも可能性はありそうです。

  • 意外にも今回登場し、先述した『暗闇戦術』の実績もある太一くん。戦闘シミュで覚醒するフラグなのか
  • 戦闘シミュに課題を残したたくさんのキャラクター、特に二宮さんのカミナリを食らった雨取ちゃんは無事3日目を乗り切れるか
  • 戦闘シミュを途中で退席し、その思惑が未だ読み取れない王子

などなど、来月以降も見どころはたくさんありそうです。

次回も葦原先生の体調を気遣いつつ、楽しみに待ちたいと思います!